引き続き、理科の自由研究の題材に困っている中学生や親御さんに向けて、1日で簡単にできてしまう実験のテーマを紹介していきます。
もう夏休みも残り少ないですが、大丈夫です。間に合います。今回紹介する実験は、買い出しに行く必要もなく、机の前で本当に短時間でできてしまいます。
今回紹介するのは錯視(さくし)の一種、ツェルナー錯視という現象についてです。錯視は平たい言葉で「目の錯覚」ともいいます。(本当は、錯覚を起こすのは「目」ではなく「脳」です)
複雑なトリックアートなどもありますが、この実験で扱うのは直線を組み合わせたとてもシンプルなものです。楽しみながら気軽にできると思いますよ!
難易度:★★☆☆☆
平行線に見えない平行線の研究
用意するもの
・定規
・分度器
・黒ボールペン
画用紙は自由帳のような線や模様のない真っ白な紙で代用可能です。
ボールペンは細字タイプは避けてください。ネームペンのような細めのマジックでも良いでしょう。
STEP1. 錯視が起こることを確認する
まずは、画用紙に10cmの横線を1cmの間隔を置いて3本引きましょう。そこに、図のように45°の角度で交わる長さ1cmの交線を1cm間隔で横線1つにつき9本ずつ描き加えていきます。お手本をよく見て、向きに気を付けてくださいね。
作図できたら、図をよく見てみましょう。10cmの3本の直線は平行なはずなのになぜか歪んで見えます。
このように、事実と見え方が異なる現象を錯視といいます。ツェルナー錯視は1860年頃に物理学者ツェルナーが報告した、割と古典的な錯視の1つです。
この錯視から、ポッゲンドルフ錯視という別の錯視の発見にもつながった歴史があるので、余裕のある方はそちらも調べてみると面白いですよ。
STEP2. 錯視が起こる条件を考える
さて、STEP.1で錯視の存在を確認できました。では、どのような条件が整うと錯視が起きるのかを調べてみましょう。
後から描き加えた交線の角度を色々と変えたり、交線の間隔を変えたり、また、最初の横線の間隔を変えたりして、どのようなときに歪みが激しくなるのか調べてみましょう。ポイントは条件を変えるのは1つずつにすることです。
最初に交線の角度をSTEP.1の45°よりも大きくしたり、小さくしたりしてみましょう。交線の角度だけを15°、30°、60°に変えた図を描きます。STEP.1の45°の図とも比べてみて、どの角度が一番歪んで見えるのか調べましょう。
次に、交線の間隔を広めたり狭めたりして、錯視がよりハッキリする間隔を調べます。間隔を0.5cm、1.5cm、2cmにした図を描いて、STEP.1の図とも比べ、どの間隔の歪みが大きいか試してみましょう。
最後に、横線の間隔を変えてみます。STEP.1では1cmだったので、0.5cm、1.5cm、2cmの図を描いてみましょう。そして、どの間隔が歪んで見えるか比べてください。
さあ、これでどの3つの条件をそろえたら歪みが大きくなるかわかりましたね。
おわりに
今回は錯視の実験を紹介しましたが、いかがでしたか。
錯視というのも不思議な現象で、ちょっと調べてみると色々な錯視がありますが、発見者の肩書も今回紹介したような物理学者から、心理学者、アーティストまでさまざまです。
やってみるとわかると思いますが、平行だという正解をわかっているのに歪んで見えてしまうのも不思議ですよね。
この実験は、家にあるものでできてしまうし、危ない作業もないので、誰にでもおすすめできます。自由研究の題材探しに困っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。