夏休みの子供の風物詩といえば自由研究。今回は理科の自由研究の題材に困っている中学生や親御さんに向けて、1日で簡単にできてしまう実験のテーマを紹介したいと思います。
今回は生物の実験ですが、今後複数回にわたり物理や化学の実験も紹介します。ぜひ、学年や興味にあった題材を見つけてくださいね。そして、楽しみながらできる実験をピックアップしていますから、理科好きな小学生がチャレンジするのもいいでしょう。
今回紹介するのは、野菜からDNAを取り出す実験です。
DNAは生物の細胞の中の「核」に含まれる物質で、遺伝情報が書き込まれていると習ったと思います。何やら難しいですが、これ、わたしたちの体中の細胞にも含まれているんですよ。
子どもが両親と似た行動をしているのを見て「DNAが受け継がれた!」なんて言うことだってあるでしょうし、代謝によって日々身体中の古い細胞が新しい細胞に生まれ変わっても、個人の姿かたちは変わりません。どちらも、DNAに身体の設計図が書き込まれているからです。
とはいえ、わたしたち自身が身体を張って実験するわけにはいきませんから、身近な野菜を使って取り出し方を解説していきますね。
難易度:★★☆☆☆
DNAをとり出してみよう
用意するもの
- ブロッコリー
- タマネギ
- トマト
- 台所用洗剤
- 食塩
- 水
- エタノール
- グラス
- すり鉢
- すりこ木
- 小さじ
- はかり
- 割りばし
- 布巾 3枚
- 包丁
- まな板
- ラップ
どれも台所にあるものですが、エタノールはドラッグストアで入手できます。殺菌用として「無水エタノール」というラベルで売られていることが多いですよ。
また、布巾は野菜の色が移ってダメになってしまうので、捨ててもいいものを使ってくださいね。ガーゼで代用してもいいでしょう。はかりがない場合は計量カップを使います。
そして、これが一番大事なことですが、野菜はできるだけ新鮮なものを使ってください。
STEP1.材料を冷やして準備する
ブロッコリー(房の部分)、タマネギ(皮は除く)、トマト(皮は除く)は、それぞれ1/4から1/2くらいの量をみじん切りにして、別々にラップや保存容器に入れて冷凍します。
30gの食塩を170gの水に溶かして濃度15%の食塩水をつくり、冷蔵庫に入れます。はかりがない場合、食塩は小さじ5、水は170mlとして計量してください。
エタノールは容器ごと冷凍庫へ。
実験をする部屋の温度が高いと失敗の原因になるので、部屋も涼しくしておきましょう。
STEP2. いろいろな野菜のDNAを抽出する
ブロッコリーのDNAを抽出し終ってからタマネギ、それが終わってからトマトというように、順番に実験してください。スピードが重要なので、くれぐれも同時進行で行わないように。STEP2.の分量はざっくりで大丈夫です。
まず、凍ったまま野菜をすりつぶし、台所用洗剤小さじ1/2加えて混ぜます。さらに食塩水小さじ1加えて混ぜます。これを布巾でこした液を使います。
グラスに底から2cmほどエタノールを入れ、そこに先ほどの液を割りばしをつたわせて静かに注ぎ込みます。
しばらく待つと、グラスの中に糸状のDNAが現れます。
- STEP2.の作業に時間がかかった→丁寧にかつ素早く行う必要があります
- 材料がぬるかった→野菜は冷凍庫、その他は冷蔵庫でよく冷やしてください
- 部屋が暑かった→エアコンで調整してください
- 野菜が新鮮でなかった→新鮮なものを使ってください
おわりに
理科室にあるような実験器具がなくても、食料品や日用品を使って実験ができるなんて楽しいですよね。宿題や部活に追われる学期中にはなかなかできないことだと思うので、ぜひ夏休み中にチャレンジしてみてください。
わたしも自分の子供時代を振り返ってみると、問題集のたぐいは結構早く終わらせてしまうタイプなのに、バリバリの文系だったこともあってお盆過ぎても自由研究に手を付けてもいないという子でした。
でも、読書感想文も残してしまっていたので、単に「何してもいい」課題が苦手だったのでしょう。そういうタイプの子は多いのではないでしょうか。
この記事がそんな子どもたちの役に立てばいいなと思います。
もし、「生物なんてイヤだ」とか「まだDNA習っていないよ」という子がいたら、最初にお話しした通り、物理や化学の実験も今後の記事で紹介する予定ですので、ぜひそちらもご覧になってくださいね。