引き続き、理科の自由研究の題材に困っている中学生や親御さんに向けて、1日で簡単にできてしまう実験のテーマを紹介したいと思います。
前回の化学の実験は少し難しかったという方、今回の実験も化学ですが、とてもカンタンに短時間で終わりますよ。小学生がチャレンジしても良さそうな、身近な食材を使ったテーマです。その分、レポートは工夫しましょうね。
今回紹介するのは、牛乳の分離実験です。というと、何やら難しそうですが、「牛乳でデザートを作るときに酸の強いフルーツを入れてはいけない」と聞いたことはありませんか?
それは、フルーツの種類によっては牛乳が分離して固まってしまうからなんです。これを「凝集」といいます。紹介する実験では、この凝集がどんな条件で起こるのかを調べます。
難易度:★☆☆☆☆
牛乳を固めるものは何?
用意するもの
・レモン
・オレンジ
・砂糖
・食塩
・重曹(じゅうそう)
・酢
・水
・スクイーザー
・小さじ
・計量カップ
・透明なグラス
・割りばし
・pH試験紙
牛乳を買うときにラベルの表示をよく見て、「種類別:牛乳」という表示の商品を選んでください。脂肪分を分離して固める実験なので、「種類別:成分調整牛乳」、「種類別:低脂肪牛乳」などの商品だと失敗してしまいます。
重曹は食品用でも掃除用でも構いません。主婦にとっては野菜のアク抜きや、お掃除に使うものというイメージですが、中学生のお子さんにとっては「炭酸水素ナトリウム」という化学名の方になじみがあるかもしれませんね。
酢も種類は問いませんが、実験の趣旨上、ジュース風に添加物が加えられたものではなく、穀物酢や米酢のようなスタンダードなものを選びましょう。
スクイーザーとは、いわゆる「レモン絞り器」のことです。あった方がやりやすいですが、なくても大丈夫です。
pH試験紙は、文字通り酸やアルカリの度合いを調べる実験器具ですが、ホームセンターでもなかなか置いておらず、大型店の熱帯魚コーナーや園芸コーナーにまれにあるという情報があります。そういうお店が近所になければ、薬局でお取り寄せ注文か、ネット通販で購入するしかなさそうです。
STEP1. どんなもので牛乳が固まるか確かめる
レモン果汁・オレンジ果汁・砂糖水・食塩水・重曹水(炭酸水素ナトリウム水溶液)・酢の6種類の液体を牛乳に加えて、牛乳が固まるかどうか調べます。便宜上「固まる」という言葉を使っていますが、「分離する」という方がイメージに近いです。
出典:homemakerchic.com
注意点として、正しい実験結果を得られなくなるので、面倒でも1回ごとに道具を洗いましょうね。
まず、レモンを絞って50ml計り、別に計って用意した牛乳50mlに加えて割りばしで混ぜましょう。様子を観察して記録を取ってください。
同様の実験を他の液体でも行っていくわけですが、オレンジはレモンと同様に絞った果汁を50ml計って使ってください。酢は薄めず50ml計りましょう。
食塩水と砂糖水は、50mlくらいの水に溶かして飽和水溶液をつくり(溶けきらくなるまで少しずつかき混ぜながら加えましょう)、そのうわずみを50ml使います。重曹は小さじ1/2を水50mlに加えてかき混ぜたものを使います。
それぞれ、レモン果汁同様、50mlの牛乳に混ぜて観察しましょう。
STEP2.牛乳を固めた物の性質を調べる
出典:www.gakuseizukan.jp
STEP.1で使った液体のpHをそれぞれ調べ、記録に取ります。
STEP.1の実験結果と照らし合わせ、牛乳を固める液体の性質を導き出し、レポートにまとめてみましょう。
おわりに
考えてみれば、牛乳って不思議ですよね。本来、水と油は混じり合わないのに、振らなくても水分と油分が均等に混ざっています。
それに、水溶液の定義というのは「ある物質が水に均一に溶けて有色か無色かを問わず透明になっているもの」と学校で習ったと思いますが、牛乳はこれには当てはまりません。(高校で「コロイド溶液」という用語を習います。)
意外と身近なところに不思議が転がっているという意味でも、この実験はオススメですよ。
この実験は簡単に短時間でできてしまうし、レポートも書きやすいかと思います。ぜひ試してみてくださいね。