不妊症が増えつつある現在、不妊治療に取り組むカップルは50万人近いと言われています。
しかし不妊治療を行う上でネックになるのが、高額な治療費です。不妊治療には健康保険が適用されるものが少なく、1回の治療で数十万かかる場合もあります。運よく1回の治療で妊娠すれば良いですが、場合によっては数百万の費用がかかることになります。
そこで、出生率の向上を目指している政府は、不妊治療に対する公的助成金の拡大と、民間の保険会社に対して不妊治療保険の解禁を発表しました。今まで不妊治療費を保障する保険がなかったので、注目を集めています。
そこでこの記事では、不妊治療保険の解禁について、適用がいつからなのか、またどのような補償内容になるのかについて、ご紹介したいと思います。
不妊治療に対する公的な支援は?
公的助成金の拡大
2015年11月に発表された、「1億総活躍国民会議」による不妊治療支援の拡充の提言により、公的助成の拡大と不妊治療保険の発売を促進することになりました。
公的助成金については、体外受精と顕微授精について、1回目の治療で30万円まで(2回目以降は15万円)給付されることになりました。また、男性不妊治療にはさらに15万円まで給付されます。
ただし、実際の助成金給付は各地方自治体が行うため、自治体によって対応が異なる場合がありますので、詳細は各地方自治体へ確認してください。
不妊治療保険の解禁
金融庁は、2016年4月から保険会社による不妊治療保険の販売を解禁すると発表しました。
これまで、不妊治療に関する保険がなかったのは、法律で保険会社が保障することが可能な病気に不妊が入っていなかったためです。少子化対策として、以前から議論されてきましたが、ようやく保険業法が改正されることになり、実現しました。
不妊治療保険は、公的助成金の給付対象から外れてしまう方をサポートするためにも、期待されていますが、採算を取るのが難しく、各保険会社は足踏み状態が続いているようです。
不妊治療で健康保険適用となるのは?
不妊治療費がどれほど高額なものなのか、不妊治療で健康保険が適用されるもの・されないものについてご紹介します。
健康保険が適用される検査・治療
- 超音波検査(子宮や卵巣の状態を確認、保険適用されない場合もあり)
- 血中ホルモン値測定検査(排卵の前後と生理中の3回行う)
- フーナーテスト(子宮内の精液から精子の数を検査)
- タイミング療法(排卵日の予測)
- 排卵誘発剤(タイミング療法や人工授精で使用)
※いずれも数百円から1000円前後で受けることができます。一部、数千円から1万円ほどかかる検査・治療もあります。
健康保険が適用されない検査・治療
- 抗精子抗体検査(抗精子抗体が女性側にあるか調査)・・・およそ1万円
- 卵管造影検査(卵管に異常がないか検査)・・・およそ5千円から2万円
- 腹腔鏡検査(女性の子宮の様子を調査。入院が必要)・・・およそ10万円
- 人工授精・・・およそ1万円から3万円
- 体外受精・・・およそ20万円~80万円。顕微授精ならさらに5万円から10万円加算
不妊治療保険、具体的には?
日本生命が国内初の不妊治療保険を発売!
2016年10月2日に、日本生命が、国内初となる不妊治療を対象とする保険を発売しました。
これは「ニッセイ出産サポート給付金付3大疾病保障保険“Chouchou!”(シュシュ)」という保険で、不妊治療に対する給付金が最大12回まで受け取ることができます。(契約後2年間は不可)
1回目から6回目は5万円ずつ、7回目から12回目までは10万円ずつ受け取ることができるそうです。
ほかにも、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)を保障してくれて、出産給付金(1人目は10万円、2人目以降、30万円、50万円・・・)もあります。
保険料は1ヶ月で1万円前後で、保険期間は10年から20年なのですが、これらの補償内容からすると、不妊治療保険を待ち望んでいた人にとってはやや期待外れと言えるかもしれません。
しかし、他の保険会社に先駆けて、不妊治療保険を発売したことは評価できると思います。これを皮切りに、もっといい不妊治療保険が出てくるといいですね。
おわりに
少子化対策として不妊治療保険の解禁が行われたわけですが、不妊に悩む人にとってはまだまだ不十分と言えると思います。不妊治療保険について、様々な問題点があるとわかっていながら見切り発車的に解禁されたようですし。
今後、安心して不妊治療に取り組めるような、そんな公的助成金制度や不妊治療保険が出てくることを願ってやみません。